Optimus No.8Rの源流・永遠の名器

SHOWSEI

2008年03月08日 00:00


「Optimus 8R」 は惜しまれつつ21世紀初頭、長い歴史に幕を閉じた





その原点になるモデル「Nr.8」は1940s後半まで遡ると云われている

パラフィンストーブは
19世紀末にスウェーデン人の類稀な好奇心と情熱で
長い歴史の幕を開ける
「MAX SIEVERT」「PRIMUS」「Optimus」
この三大ブランドが深く関わり合って
今日までの歴史を刻む事になる


■初投稿日08/03/08


■更新日:08/08/20:123R.8Rメンテサポート
■メンテナンス:サポート

■更新日08/11/08
No.11追加

09/04/06
レアミントな軍8落札例・・・欲しかった〜高かった〜

「SWEDISH PAT No 71018」
と刻まれる小型箱ストーブ
このモデルが半世紀以上に及ぶ
歴史を刻む草創期のモデル


記念すべき友人所有の
アルミケースのファーストモデルです



タンクもメッキとブラスの2モデルがあります





PATナンバーが刻印されてないのがファーストモデルの特徴です



セカンドモデル
素材はアルミから鉄に変更されますが
多少の変更を加えながら21世紀初頭まで基本は変わらない






セカンドモデルにはPATナンバーが刻印されています



1950年代後半には
最終モデルまで継承される丸みを持ったケースに変更される

「Optimus」の筆記体エンボスロゴは悩ましい!









「8F」と記載






この後、1960年代初頭から「No.8」は更なる進化を遂げる
「8」から「8R」


「Radius社」を吸収する事でパテントだった
ビルトインニードルを採用
レンチからペークハンドルに変更される
デカールも使用され始める
この基本形は最後まで継続される事になる
「8R」は1963年頃に完成レベルに達したと云えます










ビルトインクリーニングニードルは
「Radius」の特許

Radius


クリーニングニードル


典型的な「8R」のバーニング



比較すると分かりやすい
「8」のレンチは工具を兼用していたが
「8R」になって別に工具が付属される



■「8」+「8R」
ケースとメッキタンクは「8」だが
ビルトインニードルの「8R」
Radius吸収間際に製造された稀なモデル

ケースの「8」がシールで隠されている
裏蓋から見ると「8」のエンボスが見て取れる
初期のモノはタンクはメッキ
その後、ブラス仕様に変更





「Optimus」のエンボスロゴ廃止
「8R   MADE IN SWEDEN」
このモデルから多くのストーブが辿るコストダウンが目に付き出します
全てに云えるかも知れませんが
草創期の古いモデルほど良い材質で造られている傾向にあります
古いほど質感が高いことも見逃せません
デカールのサイズにも違いがある
筆記体ロゴのモデルと同サイズのデカールタイプが初期かと思う
デカールが大きいモデル




デカールが小さいモデル






ペークハンドル変更
薄いロゴ入りから厚いハンドルになります
「Primus 8R」とペークハンドルを共有します
1966年オプティマス社はプリムスの液燃部門吸収します
この時期から両ブランドで「8R」「111」「22」など
多くのストーブの販売シェアを広げます
同時にパーツ共有とコストダウン路線へ向かいます
質感が高く「オプティマス8R」らしさは1966年以前モデルに限ります





「Primus 8R」の初期モデルはペークハンドルには「PRIMUS」と刻まれる



エンボスロゴ完全廃止
エンボスロゴは廃止され
最終モデルまで続くデカールに変更
厚いペークハンドルの最終モデル





ペークハンドルから工具兼レンチへ
8R史上、最も大胆なコストカット





最終モデル
ラストモデル「8R HUNTER」の特徴はペイントにあります
名機「8R」が廃盤になった時由に塗料の問題がありました
「耐熱塗装と環境が合わない」
このモデルを最後に名器中の名器「Optimus8」は歴史を閉じます







「8R」が廃盤になって久しいですが純正ケースは何故か入手可能


OPTIMUS(オプティマス) 123R/8R兼用ナイロンケース




□旧8R専用ケース




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その名器ぶりは日本、韓国、台湾、露西亜などにも
クローンやコピーが存在するほどです


日本製「マナスル160」



韓国製「Phoenix」



ロシア製「R1」




最後に半世紀以上に及んだ「Optimus Nr.8」の分類は
私見以外の何物でもありません
一般に「初期、中期、後期」を大分類されてますが
私が知る限り、もう少し細分化が必要ではないかと思っています

「Optimus社」は「11」「111」「99」「199」「10」など多くの箱ストを世に出して来ました
その流れを知る上で「8」を中心軸に考えると大変面白いと思います

「10RANGER」
黒いボディにコブラバーナーが特徴





「111B」
ローラーバーナーで火力も強く
初期モデルの特徴ですがアルコールボトルなどの付属品があり質感も高い











「111B」付属のアルコール缶



更に古い時代のアルコール缶
「No.96L 青缶に付属」









「111C」
111Bとの違いはサイレントバーナーである事
ペイントカラーも豊富だ





「No.11」
Optimusプレッシャー箱ストの原点モデル


私が所有する最も古い No.11
Optimus初期モデルに見られるPAT No刻印モデル













ハンドルが短い





やはり古いモノほど作り込みが高い





先のモデルとケースは同じだがポンプの位置が異なる
No.11 ビルトインニードル1stモデル









「22B」

ツーバーナーも存在する
前期は筆記体エンボスロゴに薄型のペークハンドル





後期の22Bは五徳が変更されペークハンドルは厚型
8Rのマイナーチェンジと同時期に変更されたのは想像に難くない





燃焼音はデュエットですから、なかなかなものです



「22」は「111」を倍にしたサイズ



「99」
アルミボディで上蓋をコッフェルに使用出来る
耐熱板の材質の違いで前期と後期と別けられる


前期モデルは耐熱カバーがメッキでストラップは黄色い




後期モデルは耐熱カバーはアルミにストラップは赤青に変更




「199」
99のボディにコブラバーナー
五徳の違いから前期後期と別けられる

五徳が「EAGLE1000」と同様の形状が後期モデル

「EAGLE1000」





21世紀になった現在も「No.11」を起源にする「N.o 88 Hiker」と云うモデルで継承されています


OPTIMUS(オプティマス) NO.88 HIKER+(ハイカー プラス)






■■ つづく
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石炭から石油製品とへ移り始めた19世紀末
G.WダイムラーとK.Fベンツがガソリンエンジンを開発した時代に
画期的なパラフィンストーブが開発された

発明したのはスウェーデンのストックホルムの工場に勤める技術者
その名は、F.Wリングドクヴィスト
自らの手作業で製造したストーブを友人達に販売しはじめた
その後、注文が殺到
J.V.スヴェンソンと共に工場を設立
工具を販売していた「B.Aヨート社」へ販売を委託
国内外で販売を開始する
同時に加圧式液体燃料ストーブの特許を取得
ストーブにはラテン語の「最上」を意味する
『PRIMUS』の名が付けられた



「PRIMUS 0」




「Optimus」と云えば「KING OF STOVE : 123R」を連想しますが
その源流は1882年創業の「MAX SIEVERT社」の開発によるモノです
スウェーデン人発明家C・R・ナイバーグと
ドイツ人機械商人M・シーベルトの二人によって1882年設立された










OPTIMUS(オプティマス) No.123R SVEA






専用ケースも嬉しい復活!!!


OPTIMUS(オプティマス) 123R用ナイロンケース







以前は赤でした




「SVEA158」
軍用大型箱スト









「Optimus社」はC・ボーズ、C・ニューリック、P・オストバーグの三人の技術者で1899年創設されます




「PRIMUS」は「B.A.HJORTH社」のブランド名の一つです



その後、PRIMUSの労働組合の紛争から
多くの労働者たちで1913年に「RADIUS社」創業



一方、オーストリアでは1918年に金属製品会社「MJR」がガソリンストーブ
「Phoebus」を発売
ここでも、名器が初声を上げます




「旧旧725」







「旧旧625」






1963年にOPTIMUS社へRADIUSブランドが移譲されます

■ブランドの相互関係





日本で発売されていた「カミシマラジュース」



その「RADIUS」も数奇な運命を辿り現在は国産の「マナスルブランド」として販売されています

「HOPE」時代のマナスル121
現行よりも五徳などの付属品も多く質感も高い








MANASLU(マナスル) マナスル96







MANASLU(マナスル) マナスル121







MANASLU(マナスル) マナスル126






MANASLU(マナスル) マナスルヒーター




1966年「PRIMUS」に「MAX-SIEVERT社」が吸収され「PRIMUS-SIEVERT社」が誕生します

同年、PRIMUSブランドのパラフィンストーブ事業とSVEAブランドがOPTIMUS社に譲渡されます

その後、PRIMUSはLPガス事業に専念することになり、日本では岩谷社と業務提携します

結果、Optimus社はオプティマスブランドと共にプリムスとスベアの液体燃料ストーブを製造販売することになります

「8R」「111」「22」など、オプティマス、プリムスの2ブランドが存在することになります





人の類稀な好奇心と挑戦で液体燃料ストーブが開発され多くの冒険家に愛用されて来ました
1911年世界初の南極点到達に成功したロアール・アムンゼンが携帯したストーブ
それは世界初のパラフィンストーブ
「PRIMUS」でした



ロアール・アムンゼン

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『CRUX』

Optimus社で最新最軽量のガスストーブが存在する
同社が求める厳しい基準をクリアした画期的なストーブ
そのベンチマークをクリアした企業は「興永工業」
日本の会社だった!

エベレスト登頂にも




重さ92g 
2008年新たに「LITE」が発売
72gで更に軽いがフォルダブル出来ない



実は日本製
厳しいコンペを勝ち抜き選ばれたのは「興栄工業」





付属のガス缶カバーの底部に収納出来るデザインは優れている
火力も強く、寒さにも強い素晴らしいストーブですが
日本のガス検の関係で残念ながら国内正規販売はされていない
MSRのポケットロケット同様、海外の優れたガスストーブは別ルートで入手可能です



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